愛の森コラム

2019年12月26日(木)

令和2年を迎えるにあたって

 

                              施設長 佐藤 忠紘

                        

年の途中から元号が変わった令和元年も終わろうとしております。

 愛の森学園のこの一年はおかげさまで大きな事故もなく、終わろうとしています。昨年途中から、急逝された星野茂氏の後任として私が施設長に代わり、突然の重責に戸惑いながらも今日まで何とかやってまいりました。故星野茂氏が18年余りに亘って築き上げ、培ってこられたこの施設を、利用者の生活を、変えることなく守り混乱なく安定を維持することを第一に考えてこれまでやってまいりました。

 施設長が代わって新風が吹き、愛の森学園が大きく変わることを期待した方には期待外れで、物足りなかったかもしれませんが・・・。 

 しかしながら、星野氏を中心として職員とともに築き上げた伝統を維持してゆくのが、私に課せられた任務であると思っております。

 一方で社会福祉の環境は社会福祉改革により大きく変わりました。ガバナンスの強化、コンプライアンス、地域貢献・・・これまではあまり言われてこなかったことが、社会福祉法人の責務として問われることとなりました。

 社会福祉法人愛の森としても、この福祉の流れに対応すべく法人運営強化のため業務執行理事を新たに置くことになりました。

 福祉サービスのより質の高い提供、第三者評価、人材育成、人材確保など法人経営、施設運営は多くの課題を抱え、ひとつひとつの難題に答えを出していかなければなりません。

 利用者さんを初め後見人の皆様が安心して預けられる『愛の森』を目指して来年も気を引き締めて日々の業務に取り組んでゆく所存です。

 愛の森学園は入所定員40名の小さな施設ではありますが、利用者の心に寄り添ったきめの細かい配慮と質の高いサービスをこれからも目指してまいります。 

来年も社会福祉法人愛の森、愛の森学園をよろしくお願い申し上げます。

 令和2年が良き年になりますよう、皆様よいお年をお迎えください。

 

                                令和元年12月

2019/12/26 16:12 | 施設長のコラム

2019年12月02日(月)

支援する側・される側

今年も残すところあと1ヶ月。
今年もいろいろあった社会福祉法人愛の森です。そりゃいろいろあります。
入所利用者40名・グループホーム入居者16名・通所および短期入所契約者27名・職員70名。これだけの人々が1年を通して学園本体施設、2棟の作業棟、3棟と1部屋のグループホームで過ごす訳ですから様々な人間模様が毎日繰り広げられています。個人情報になるので個々の詳しい話はしませんが、83名の利用者さん個々の濃い今年と利用者さんを支える70名の職員の今年もあと少しです。
日本は大晦日と元旦という一年の区切りがはっきりとしているので、なぜか不思議と「良いお年をお迎えください」「あけましておめでとう今年もよろしく」で、気持ちがリセットされたりします。(された気分になる)
しかし、利用者さんの支援は365日切れ目がありません。特に入所支援に関しては365日関係無しに日々の生活支援はどこまでも続いていきます。

話は変わりますが、支援されることを拒否する利用者さんがいます。
知的障がいをお持ちの方の拒否の仕方は、はっきりと言葉で拒否をされる場合や大きな声や他害行為などの問題行動で示される場合などあります。また、知的障がい故に、言葉で表現することが苦手だったり、幼少期より両親などから手を掛けて育てられた背景から、支援に対して受身で、多少嫌な支援であっても拒否せずに受け入れることが多いと思います。
しかしながら最近、支援をはっきりと言葉で断る方がいらっしゃいます。支援者からすると、はっきりと断られると、これは無理強いしてはいけないと思い、それ以上は踏み込まなくなります。ですが、支援者側としては、その拒否の言葉をそのまま鵜呑みにしては、支援のプロとは言えないです。だからと言って、支援を無理強いしては、虐待案件にも繋がりますので駄目です。しっかりと拒否をされている利用者さんの気持ちを汲んであげなければなりません。拒否をした時の前後関係を確認したり、支援者との人間関係や、ご本人の体調、はたまた灯台下暗し的に簡単な理由が無いか再確認したりと、支援者は思いを巡らせなければなりません。

相手の気持ちを汲むということは本当に難しいことです。だから支援者は常に自分が支援さた場合を考えて支援しなければならないと思います。自分がされてたら絶対に嫌なことはしてはいけません。これって当たり前のことですが忘れがちです。支援員として活躍されている方、これから支援員を目指す方は心に留めておいてください。
そして支援する側とされる側で陥りやすい落とし穴があります。それは、支援する側が支援される側よりも優位に立ってしまうことです。
知的障がいをお持ちの方(支援される側)って、支援者(支援する側)に対してどんな思いを持っているか考えたことありますか?
多くの知的障がいをお持ちの方は、支援者よりも自分は劣っていることを自覚しています。
その上で、支援者を頼りにするとともに、その生活環境で生きて行くために従わなければならないと思っています。また人によっては過度に職員を頼りすぎて、依存してしまう場合もあります。
例えば、入所施設において、利用者さんは好きな時間に入浴や食事ができますか?

答えはNOです。特に施設生活において、入浴と食事の場面は一番リスクが高い場面です。利用者さんが入浴する際は、事故防止のため職員体制が確保されていなければなりません。食事は決まった時間に用意され、衛生面の問題もあるため決まった時間内に食べなくてはなりません。(もちろん、そこで食べれなければレトルト食品など対応)
必然的に支援する側の優位性の構図は生まれてしまうのです。

では、支援する側にとって、大切なこととは何でしょうか?
私が考えるに(誠に恐縮です)「相手の気持ちを汲み取る努力」だと思います。
これこそ、知的障がい者福祉のみならず福祉職として、普遍的で基本的な支援する側の姿勢だと思います。気持ちを汲み取るのが得意じゃなくても、汲み取ることを忘れてしまいがちでも、利用者さんの気持ちを考え、汲み取る努力を忘れずに、支援する側も、これから支援する側を目指す人も、我々の仕事は、支援される側があってのお仕事です。忘れずに。
 

職員M

2019/12/02 09:00 | 職員のコラム

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