愛の森コラム
2019年05月01日(水)

「新しい時の幕開けに」

振り返ると平成は天災の時代だった。いつだったか、新聞でそのような記事を読んだ。

平成史を振り返れば、実にその通りだったと思う。

明治以降は天皇即位による改元となったが、それ以前は政治的策略、または天災などの続くときに改元されることが多かったようだ。これになぞらえば、平成は何度改元される可能性のあったことか。しかし日本は昔から、作っては壊れ、また作ることを繰り返してきた。島国だからこそ侵略されることもなく、この繰り返しが精神の鍛練と技術の進歩を生み、現在の発展に繋がる。

 

作っては壊れ、また作る。このいたちごっこは、いつまで続くのだろうか。地球がある限り、永遠に続くのだろうか。この壮大な考えは、やがて足元に着地して、自分自身を振り返る。

福祉の仕事をしていて、完成した、完結した、と思えることはない。常に懐疑心を持ちながら、おっかなびっくり進んでいく。不安で泣きたくなることも、うれしくてみんなに言いたくなることも、たくさんある。ひとつの達成は、ひとつの建物が出来るのと同じ。ハプニングが起きると、壊れてやり直し。人が他者を作ることはありえないが、その人生に介入という言葉でおじゃまさせて頂き、達成、完成や落胆の共感をしながら、道筋を共に辿っていく。所詮は人のするところ、この大きな世界の中で、私たちに一体何が出来るのだろうか。ややもすれば自己陶酔して独り善がりに満足しかねない危うさの中、冷静な目を持ち続けることの難しさ。

大きな世界の小さな輪の中で、少しでも、楽しい、と思ってもらえる時間を一緒に創ることが出来ているのだろうか。福祉って、一筋縄ではいかないな、と思う日々。何を思うのかと言えば、利用者さんの支援計画。この1年で、何を提供することが出来るのか。準備や評価の面から見ると、1年とはあっという間に過ぎる時間。意思決定支援に従って、成功も失敗もひっくるめて、充実した時をお届けしたい。まずは利用者さんと約束している、ジュースを買いに行かなくちゃ。

 

令和だろうと平成だろうと、天保でも天平でも嘉永でも、人々の生活が脈々と紡がれていくことに変わりはない。その中で、少しずつ世界は変わっていく。

 平成の30年と4か月、時代は大きく変わった。来る令和の時代は、どのような日々になるのだろうか。そしてわたしたちは、どのような時代を作り得るのか。

 

職員O

2019/05/01 09:26 | 職員のコラム