愛の森コラム
[先頭]  <<    12   13   [14]   15   16   >>   [最後]
2019年04月01日(月)

初心表明 Ⅱ

「新しい元号は平成『へいせい』であります」
今から30年前、1989年1月7日に故小渕恵三官房長官が記者会見で新元号を披露した。毛筆で書かれ額縁に入れられた「平成」は今も強く印象に残っている。
あれから30年、2019年5月1日いよいよ新たな時代の幕開けとなる。

 

1988年に開所した愛の森学園にとっても平成時代の馴染みは深く、ともに歩みを進めてきたことになる。

 

ちょっと振り返るが10年前の2009年度始めに、コラムにて「所信表明」ならぬ「初心表明」を先代施設長はこのように記した。

 

①現在愛の森で支援しているすべての利用者の自己決定、自己選択を最優先する。
②新しい利用者(通所・短期入所、ホーム等)を求め、最大限門戸を開放する。
③次年度(2010年)新ホーム整備の計画を立て、利用者の流動化を促進する。

 

おさらいすると、自己決定・自己選択は可能な限り支援に反映したであろう。
2013年4月に新作業棟を竣工し、生活介護の定員も増員、利用者も職員も多くなった。
新ホームに関しては、候補地選定まで進んだものの、設置には至らず。

 

10年一昔とはよく言うものであるが、「ついこの前だったような・・・」と思うところが時の流れの速さに驚きを隠せないのである。
さて、新しい時代の幕開けに相応しい「所信表明」ならぬ「初心表明」は・・・

 

①現在愛の森で支援しているすべての利用者の意思決定支援を最優先する。
②入所利用者の高齢化対策を具体化・具現化する。
③社会福祉法人として地域における公益的な取り組みを実施する。(社会貢献)

 

時代は確実に時を駆け抜け、法も制度も変貌を遂げる。そんな時代性に相応しい「初心表明」(あくまでも個人の想いです)をここに記すこととする。

 

今年度も愛の森学園をよろしくお願い致します。

 

愛の森学園 職員・E

2019/04/01 09:42 | 職員のコラム

2019年03月01日(金)

IT技術の進歩と福祉施設を考える

ニュースで通信システムが5G(ファイブジー)になるというのを見ました。
私も素人なので詳しく説明できませんが、5Gとは何か言うと、現在のスマートホンや携帯電話の通信システムは3G・4Gなのですが、それがグレードアップするということです。要するに『インターネットの通信速度が速くなり、大容量のデータ通信が可能になる』ということです。
IT技術は日進月歩を続けている訳ですが、この分野は苦手な方からすれば、「ガラケーの私には関係ない」とか声が聞こえてきそうです。しかし携帯電話に限らず、様々な物がインターネットに接続されている今の世の中、通信システムが5Gになると生活がどのように変化していくものか調べてみました。

 

5Gは2020年の実用化に向けて研究されているそうです。
例えば、バスや工事車両の遠隔操作による運転とか、ドローンに付けたカメラを使用した危険地域の作業、医療ではロボットの遠隔操作で高度な手術をしたり、バーチャルリアリティー(VR)を利用した接客業など、様々な期待がされているところです。2020年の東京オリンピックの頃には自動運転のバスが導入されるなんて話もあります。

 

総務省が5Gの実証試験動画を出しています。下記のリンクからご覧下さい。
https://youtu.be/8Uwy5AS6zNo?list=PL7PI1l61-EVLG2pSuUkpXm06IqMFYWbp6

 

このイメージ動画を見ると、人材難の福祉業界に革命的なことが起こりそうな予感がします。例えば、帰省出来ない利用者さんにバーチャル映像で家族と面会していただいたり、バーチャル映像で旅行体験したり、ロボットやバーチャル映像が利用者さんのお話し相手をしたりと様々な可能性を想像することが出来ます。
昨今話題のAI(人工知能)と5Gの融合は、人手不足の日本社会に限りない可能性を感じます。十年後には福祉施設の事務所の受付は人型ロボになり、お金は電子マネー化されて、物品購入等の事務業務は全てコンピューターが自動的に行う。利用者さんの外出は自動運転の車両で移動して、コンビニなどでの物品購入は電子マネーで自動決済。厨房の調理もロボット化されて、人を介してのウィルス感染も心配なくなる・・・なんて世界がもう目の前に来ているかもしれません。社会の変化に合わせて、福祉施設生活も変化してきたように、様々な技術の発展は施設で生活する利用者さんの未来にもたくさんの可能性を広げてくれると言えます。

 

私は子供の頃、未来の世界を描いた科学図鑑を見るのが大好きでした。その世界が着実に近づいていることにワクワクしている今日この頃です。

 

職員M

2019/03/01 09:00 | 職員のコラム

2019年02月01日(金)

体験と経験と想像力

 梅の香りが気になる春待ちの季節、先日、ジャニーズの看板である嵐の活動休止が報じられた。この決断について、またこれに伴い行われた記者会見について、対応について、テレビやネット上では毎日様々な意見が飛び交っている。  

 愛の森の利用者さんの中にも、ジャニーズや嵐が好きな方は少なくない。活動休止を寂しがっての反応が見られるが、案外皆さん淡泊だった。報道を受けて感じたことは、テレビの世界が変わっていきそうだな…という事だった。  

 昨年には歌姫 安室奈美恵の引退、数年前には国民的アイドルであったSMAPの解散と、これまでテレビの世界をけん引してきた人たちが、次々に表舞台を去っている。嵐は休止まで2年の猶予があり、またSMAPの面々も個々での活動があるので完全に去った訳ではないが、テレビの世界の分布図が変わった事は確かだと感じている。  

 数年前はお笑い番組であふれていたテレビ欄が、近頃は海外での生活を紹介するような番組が増えたのも、時代の流れと共にテレビの世界に求められるものが変わったことが理由なのだろうか。  

 

 テレビに出る人を「芸能人」と呼ぶ。そのルーツを考えると、歌舞伎や落語等、芸術や遊芸、また役者等により多くの人たちが触れられるような媒介となったのがテレビであり、芸能人という呼び名がついたのだろうと考えている。(考えているだけなので事実は知りません。)つまるところの娯楽であり、利用者さんにとってはなかなか触れることの出来ない世界を、テレビを通して見聞きすることで世界を広げ、社会に触れるとても大切なツールであるのだと思う。  

 昨今は若者のテレビ離れがあると聞く。これ自体には然して興味はないが、インターネットの広がりが拍車をかけていることに間違いはない。ユーチューバー等、所謂「芸能人」でなくても有名になり、それを生業とする事が出来る世の中だ。  

 趣味嗜好が多様化し、インターネットの検索は一言入力すると何万もの結果がヒットする。大衆娯楽は時代から離れ始めているのか。一方で、始まりのきっかけは誰にも必要であり可能性は様々だが、テレビから受ける影響は多大だ。テレビから聞いた歌をうたい、テレビで見たご飯を期待し、テレビで見た景色を夢に見て、テレビに出ている芸能人に憧れる。  

 

 日々の愛の森学園での生活でも、利用者さん、職員と、テレビの話題で盛り上がることは少なくない。共通の話題として、思いの共有がしやすいのである。もちろんテレビ以外にも雑誌や買い物先など、日常生活上でたくさんのヒントを得ることは出来る。しかしそうした中で必要になるのは、想像力だ。想像力を豊かにするのは経験であり、想像と実際の差から生まれるのが現実であり、新たな想像だと感じている。  

 今後どのようなテレビ番組が制作されていくのか、そして我々はどういったものをその世界に求めていくのか。4Kや8Kのテレビも流通し、内容だけでなくその周辺機器にもバージョンアップが図られている。

 

 複雑になりすぎているこの時代には原点回帰をし、単純にきれいなものや楽しい世界、夢見ることの出来る世界を、きれいな画質のテレビでみたいなぁと思います。そうして利用者さんと一緒に眺め、行ってみたいね、食べたいね、と思いを共有し、出掛けていける世界を創っていけたら素敵だなぁ、と思います。

 

愛の森学園 職員O

2019/02/01 20:54 | 職員のコラム

2019年01月01日(火)

新年あけましておめでとうございます。

 昨年の後半9月に、思いがけずに施設長を拝命し新年を迎える事となりました。

就任後3か月を経て、今更ながらに責任の重さを痛感しているところであります。

 これまで職員が培ってきた愛の森学園の良いところを大事にしながら、猪突

猛進の年ではありますが、一歩一歩前進の心構えで利用者のより豊かな生活の

実現を志してまいりたいと思います。

 ご指導宜しくお願い申し上げます。今年も良い年でありますようご祈念いたします。

 

                               平成31年 元旦

                             施設長 佐藤 忠紘

2019/01/01 06:47 | 施設長のコラム

2018年11月30日(金)

平成最後の師走に思うこと

先日、グループホームの日帰り旅行の引率で東京方面に出かけた。まずは、都内にある某一流ホテルでの豪華ランチバイキング。和洋中色とりどり綺麗に並べられた料理には、利用者のみならず引率した職員も心躍らせ、休日の贅沢なランチに舌鼓を打つ。バイキング料理の醍醐味は、好きなものを好きなだけ!?食事を楽しめることであり、現在流行の意思決定(支援)には最適なシチュエーションと考える。私の意思決定は、目の前で捌いて頂く特大の国産ローストビーフを贅沢にも2皿堪能することであった。

贅沢ランチの後はこの旅行のメインでもある東京スカイツリーへ。平成24年5月に開業した世界一高い自立式電波塔でありその高さは634メートルを誇る。当日は好天に恵まれ、開業から6年経過した現在でも大変な盛況振りであった。現地の誘導員の指示に従い高速エレベータに乗車すると、瞬く間に地上350メートルの展望デッキへ。そして、更にその100メートル高い地上450メートルの展望回廊からは、関東一円を見渡すことができる壮大なパノラマが広がっていた。幸いにも高所を苦手とする利用者がいなかった為、「富士山はどこ?」なんて会話が弾みながら思い思いの景色を楽しまれる。東京スカイツリーは平成時代の建造物の中でも、特にその高さと存在感が印象として強いが、その構造は伝統的な日本建築に見られる「そり」や「むくみ」をもち、五重塔の心柱制振システムなど、古来の技と日本の最新技術による制振構造となっているから驚きだ。展望回廊のあまりの高さと、壮大なるパノラマビューに高所恐怖症を忘れ、利用者との旅行引率であるにも関わらず、現実から少し逃避した感覚に陥るのであった。

愛の森学園は昭和63年5月に地上3階・地下1階の規模で開所を始めた。まさに平成と一緒に歩みを進めてきた施設である。入所利用者40人中、昭和63年当時から利用を続けている利用者は14人。重度の知的障害であればあるほど、時間やその経過の概念に理解が難しく、さらに30年の加齢や老いをどう受け止めているのかも定かではない。たかが30年、されど30年と思いつつ、平成と歩んだその30年の施設生活の重みを、我々職員はどう考え、受け止め、今後を見据えるか。その平成史の中で制度の流れは後半の15年間で大きく変動。長期に続いた措置時代は基礎構造改革を皮切りに自由契約へ。利用実績に基づく報酬改定に支援費制度・支援区分の導入。さらには地域福祉の推進。自己決定・自己選択から意思決定支援へ。制度は変われど入所施設の生活が劇的に変化(進化)を遂げたかといえば、制度改正に伴う職員処遇の改悪?や、質・量の不足もあり、様々な矛盾を感じるも、最低限の役割を果たしてきたことになるのか・・・。

平成は「天地・国内外ともに平和が達成される」と意味されるが、この30余年は天も地も内も外も大きな災害・事件等の出来事が多かったように思える。障害者福祉では制度上、入所利用者にとっては「内」から「外」へのスローガンが掲げられてきたが、リスク回避の優先や地域展開に意欲的になれない法人事情を理由に、議論を平らに成らされてきたように思える。

そんな平成もいよいよ幕を閉じる。今後の社会や障害者福祉がどのように歩んでいくのか不透明な部分が多いが、天地も内外も平和や幸福を追求することには変わりはない。今年は愛の森学園にとって様々な出来事があった年であったが、平成最後の師走は元号の意味のように全てが平和でありますよう、また、新元号が始まる新年を穏やかに迎えられるように・・・
 

愛の森学園 職員・E

2018/11/30 17:00 | 職員のコラム

[先頭]  <<    12   13   [14]   15   16   >>   [最後]