愛の森コラム
2019年12月02日(月)

支援する側・される側

今年も残すところあと1ヶ月。
今年もいろいろあった社会福祉法人愛の森です。そりゃいろいろあります。
入所利用者40名・グループホーム入居者16名・通所および短期入所契約者27名・職員70名。これだけの人々が1年を通して学園本体施設、2棟の作業棟、3棟と1部屋のグループホームで過ごす訳ですから様々な人間模様が毎日繰り広げられています。個人情報になるので個々の詳しい話はしませんが、83名の利用者さん個々の濃い今年と利用者さんを支える70名の職員の今年もあと少しです。
日本は大晦日と元旦という一年の区切りがはっきりとしているので、なぜか不思議と「良いお年をお迎えください」「あけましておめでとう今年もよろしく」で、気持ちがリセットされたりします。(された気分になる)
しかし、利用者さんの支援は365日切れ目がありません。特に入所支援に関しては365日関係無しに日々の生活支援はどこまでも続いていきます。

話は変わりますが、支援されることを拒否する利用者さんがいます。
知的障がいをお持ちの方の拒否の仕方は、はっきりと言葉で拒否をされる場合や大きな声や他害行為などの問題行動で示される場合などあります。また、知的障がい故に、言葉で表現することが苦手だったり、幼少期より両親などから手を掛けて育てられた背景から、支援に対して受身で、多少嫌な支援であっても拒否せずに受け入れることが多いと思います。
しかしながら最近、支援をはっきりと言葉で断る方がいらっしゃいます。支援者からすると、はっきりと断られると、これは無理強いしてはいけないと思い、それ以上は踏み込まなくなります。ですが、支援者側としては、その拒否の言葉をそのまま鵜呑みにしては、支援のプロとは言えないです。だからと言って、支援を無理強いしては、虐待案件にも繋がりますので駄目です。しっかりと拒否をされている利用者さんの気持ちを汲んであげなければなりません。拒否をした時の前後関係を確認したり、支援者との人間関係や、ご本人の体調、はたまた灯台下暗し的に簡単な理由が無いか再確認したりと、支援者は思いを巡らせなければなりません。

相手の気持ちを汲むということは本当に難しいことです。だから支援者は常に自分が支援さた場合を考えて支援しなければならないと思います。自分がされてたら絶対に嫌なことはしてはいけません。これって当たり前のことですが忘れがちです。支援員として活躍されている方、これから支援員を目指す方は心に留めておいてください。
そして支援する側とされる側で陥りやすい落とし穴があります。それは、支援する側が支援される側よりも優位に立ってしまうことです。
知的障がいをお持ちの方(支援される側)って、支援者(支援する側)に対してどんな思いを持っているか考えたことありますか?
多くの知的障がいをお持ちの方は、支援者よりも自分は劣っていることを自覚しています。
その上で、支援者を頼りにするとともに、その生活環境で生きて行くために従わなければならないと思っています。また人によっては過度に職員を頼りすぎて、依存してしまう場合もあります。
例えば、入所施設において、利用者さんは好きな時間に入浴や食事ができますか?

答えはNOです。特に施設生活において、入浴と食事の場面は一番リスクが高い場面です。利用者さんが入浴する際は、事故防止のため職員体制が確保されていなければなりません。食事は決まった時間に用意され、衛生面の問題もあるため決まった時間内に食べなくてはなりません。(もちろん、そこで食べれなければレトルト食品など対応)
必然的に支援する側の優位性の構図は生まれてしまうのです。

では、支援する側にとって、大切なこととは何でしょうか?
私が考えるに(誠に恐縮です)「相手の気持ちを汲み取る努力」だと思います。
これこそ、知的障がい者福祉のみならず福祉職として、普遍的で基本的な支援する側の姿勢だと思います。気持ちを汲み取るのが得意じゃなくても、汲み取ることを忘れてしまいがちでも、利用者さんの気持ちを考え、汲み取る努力を忘れずに、支援する側も、これから支援する側を目指す人も、我々の仕事は、支援される側があってのお仕事です。忘れずに。
 

職員M

2019/12/02 09:00 | 職員のコラム