3月のコラムに、「満身創痍」から「平身低頭」「全身全霊」とハイテンションのスローガンを書いてみたが、果たして福祉従事者の心は初心貫徹状態に復活しているだろうか? ひとりひとりの福祉従事者の責務の堅持を期待しつつ、「保育園落ちた。日本死ね」と炎上した保育には光が射しかけ始めたと思いつつ、障害者福祉は来たる参議院選挙のネタにも上らず、改めて「全身全霊」のやり直しというのが現実かも知れない。但し諦めてはいけない。下記の分析が正しければ、近い将来花形の仕事に生まれ変わる可能性が高いということである。過程から言えば、「IT」の目覚ましい進化によって「人工頭脳」が飛躍的に発達し、「ロボット」「3Dプリンター」等が日常生活の中に浸透すると想定される。それでは、どうして障害者福祉が近未来にトレンドに様変わりするかというと価値の基準が大幅に変化し、「カネ」の資本から「ヒト」の資本へと価値が転換するから、ということである。
とある識者によれば、資本とは「カネを生み出すカネ」のことであると言う。しかし、「IT」の劇的発達は、ものづくり、野菜づくり、物流サービス等を担う労働者の仕事を奪うというのである。また「人工頭脳」の進化は、囲碁の達人に勝利したように、高学歴のエリート層の持つ能力をも凌駕し、そのイノベーションを奪ってしまうというのである。
例えば、日用品製造工程の完全無人化が可能となり、農園芸にしても無人の野菜、果物、花生育工場が可能というのである。物流も「ロボット」「自動運転車」「ドローン」等がその役割を果たす。また創意工夫が人間の最後の砦と思いつつ、「育成型人工頭脳」にとってかわられるというのである。そう考えれば、「カネ」稼ぎは「人工頭脳」や「ロボット」等に委ね、「ヒト」への投資を大切にする社会構造になるという。それは、「ヒト」があくせく働かない社会であり、善意に捉えれば、互いが「分かち合う」社会の形成である。前者は「ベーシックインカム」の保障であり、後者は「ワークシェアリング」の推進である。
そう遠くない将来、愛の森学園は、元「製造」「物流」「農園芸」「IT」等に従事していた人間たちが職を求めてたくさん集い、利用者支援その他の業務を生き生きと担う時代がやって来るのである。労働時間は一日6時間、週30時間である。支援者は相互にワークシェアする。賃金は、「人工頭脳」や「ロボット」によって稼いだ国家資本から、ベーシックインカムによって、現金給付が保障されるため、福祉労働は単に可処分所得のみ稼ぐということになる。余裕を勝ち得た福祉労働者により、平和な利用者の日々が保障されるのである。つまり、障害という社会的不利を授けられた利用者への支援その他の業務は「IT」の進化から取り残される要因が大きいため、逆に生き残る可能性が高いということである。
そんな夢みたいな話があるのか・・・と疑うかも知れないが、テレビで紹介されたアメリカのタクシー会社の倒産は、「スマホ」普及によるマイカータクシー(白タク)の新ビジネス台頭が原因という。時の流れはまさに不透明ということになる。
北朝鮮やISの暴挙、トランプ氏の不吉な台頭等、時代はまさに不透明ということになる。但し戦争をしないこと。加えて大きな自然災害に備えることを肝に命じつつ、障害者福祉の仕事が近い将来の花形になることを期待し、新年度幕開けの希望の御紹介である。