10月1日のネットニュース(産経新聞)から引用する
『消費税率が1日、8%から10%へと引き上げられ、同時に、低所得者の負担を和らげるため酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率制度」も導入された。消費税の増税は平成26年4月以来、5年半ぶり。平成元年に3%で導入された消費税は、30年を経て初めて2桁の“大台”に乗った。 消費税率を引き上げるのは、少子高齢化で社会保障費が増え続ける中、安定した財源を確保することが狙い。増税により税収は年間約4・6兆円増える見通し。政府は増税に合わせ、社会保障政策をこれまでの高齢者中心から現役世代を含めた「全世代型」へ転換させる方針で、同日、幼児教育・保育の無償化も始まった。無償化を含む社会保障の充実には、税収から2・8兆円を充てる。 過去の増税時に経済を落ち込ませた反省から、政府は今回、総額6兆円を超える景気対策を講じており、目玉政策のキャッシュレス決済に伴うポイント還元もスタートした』
今回の増税に関しては、当然膨れ上がる社会保障費の財源確保は言うまでもないが、軽減税率制度やキャッシュレス決済のポイント還元など、単純増税ではない複雑なルールが入り乱れる。連日テレビでも「このケースは」「店で食べたら」等々、特に軽減税率の適応・適応外を取り上げている。対応にあたる店舗は、昨夜は寝ずの作業に負われたことだろう。
併せてこの10月からは最低賃金が引き上げられ、神奈川県では1,011円となった。
愛の森学園においても一番低額なパート職員の時給は、引き上げられた最低賃金を下回っていた為、今回の引き上げ分(28円)を全ての時給労働者に還元することになった。
さて、この増税に対しどれだけ社会保障費として実感を得るような恩恵があるのか。
新聞記事にも高齢者中心から全世代型と銘打ち、幼児教育・保育の無償化とあるが、障害福祉の文字はみられない。社会保障は高齢者・児童・医療に偏りが激しい印象がある。
社会福祉法人で運営を実施しているこの愛の森で例えるのであれば、今年度は減収の嵐である。各種加算メニューの減額、常勤職員年度途中退職による職員配置加算からの撤退、これに加え消費税の増税、最低賃金上乗せによる人件費の上昇など、収入が減る中での出費の増大である。安定経営に向けて具体的に何を取り組むか、喫緊の課題である。
知的障害者福祉においては、その多種多様な特性と障害程度の幅広さから、専門的な支援が必要とされる。特に入所支援施設においては、未だ支援現場の最後の砦とされているイメージが強く、施設を頼らずしての地域性における合理的配慮はまだ道半ばである。その「砦」とされる入所施設運営は近年厳しくなりつつあり、特に愛の森のような中小法人は、資金の融通さや人材確保の利点から法人の大規模化・協働化を国から促されるような時代にもなってきている。利用者の主体性を根本とし、サービスの質を維持・向上に結びつくような社会保障のあり方を願うばかりなのだが、増税・賃上げ・景気維持?と国策が並ぶ中で、増税傾向できたこの30年間、障害福祉は改悪の連続ではなかろうかと思うのである。
キャッシュレス還元?も重度知的障害者個人においては無縁のアイテムなんじゃないか。
色々考え込んでしまう秋の夜長である。
愛の森職員・E