MLBの大谷翔平投手の二刀流による圧倒的な活躍や、サッカーワールドカップロシア大会が目前に迫る中で、新体制の西野ジャパンへの注目に関心が高まる。更に2020年には東京オリンピックを控えるなど、スポーツの話題が多く取り沙汰される中、日大のアメリカンフットボール部の選手による悪質なタックル問題がメディアを騒がせている。
事の発端はまさに現代社会を象徴するようなSNSによるタックル動画の拡散である。相手の関学大が抗議し、日大のあいまいな返答に騒動が大きくなり、タックルを行った当該選手自らが記者会見を開く異常な事態に陥っている。
名門・常勝という看板こそが、異様ともとれる勝利への拘りをつくり、監督・コーチと選手間における勝ちに対する考え・意識の乖離を生み、更に、手段を選ばないあの悪質なタックルが今回の騒動である。 学校側は単に勝敗に拘るが、選手は勝敗はもちろん、試合に出場したいという部活動経験者なら誰でも思う純粋な気持ちがある。
しかし今回の日大監督・コーチは当該選手を精神的に追い込み、その出場したい気持ちを関学大戦にあのような形で起用してしまった。
一方でコンタクトスポーツは体と体のぶつかり合いが売りであり魅力の一つでもある。タックルを行った選手もルール(反則)に基づき退場処分も課されていた。アメフトルールを詳しく知らない人間からすれば、一見すると流れるプレイの一つに過ぎなかったかもしれない。動画が拡散され蓋を開けて判明した問題は、ルールを度外視した監督・コーチによる選手への一部威圧と支配の実態と、日大側がその悪質で行き過ぎた指導があったことを認めなかったことである。アメフトが好きで懸命に努力してきた選手たちへの影響を考えると不憫で仕方ない。再び日大アメリカンフットボール部がフェアプレイに則り、堂々とフィールドに立てる日がくることを願う。
愛の森学園では、施設を利用する利用者と支援・援助を行う職員との両極的な関係性がある。その関係は縦ではなく対等と言いつつも、イニシアチブを握る職員によって利用者の生活が成り立っている雰囲気は、現場を監督する側として恥ずかしながらも散見される場面がある。ここで要になるのが職員の仕事上のルール(倫理行動綱領)に基づいて業務に当たることである。また最近のトレンドとしては「意思決定支援」に基づく利用者支援が加速している。実状としては満足に職員人員が揃わない中、制度の変化、利用者の加齢化・重度化、さらに「働き方改革」が織り交ざり現場は混沌とする。管理する側の頭を悩ませつつも、起こしてはならない支援のアンフェアの一つは、職員による利用者への不利益な関わりであろう。特に重度の知的障害者はその不利益の概念すら分からず、不服として訴え出ることも困難である。これをいい事に職員が利用者を威圧したり、服従させたりとパターナリズム化された関係性には危惧しなければならない。
アメリカンフットボールはフィールドに立つ選手が主役であり、入所支援施設ではそこで生活する利用者が主人公である。これを前提に考えれば、何がフェアで何がアンフェアか。 状況等を言い訳にせずに、先ずはルールに則ってやりましょう、ってところである。
愛の森学園 職員・E