2022.07.28

外部医療関係有識者の支援のもとでの「摂食・嚥下マネジメントシステム」の実施

~ 利用者さんの生活の質の維持・向上のため、従来から嘱託医・産業医の先生を初め多くの医療関係の外部マンパワーにはご指導・ご支援をいただいております。利用者さんの高齢化が進むなか、昨年度から、言語聴覚士(ST)、作業療法士(PT)の両先生の参画のもと、「摂食・嚥下」を主テーマとした新たなマネジメントの取組みを行ってまいりました。

 

 (1) 取組みのきっかけ

  ① 利用者さんにとって(そして我々にとっても)、日々の楽しみの大きな部分を占めるのが「食事」であることは論を俟たないことだと思います。

  ② 高年齢化等に伴う利用者さんの咀嚼・嚥下能力等の変化に応じ、「楽しみ」はそのままに維持しつつ、「食事の形態」は刻みの大きさや調理の方法(例:柔らか肉)等により、何が各利用者さんの「今」にとってベストであるか、について、その都度、支援職員と厨房職員とが相談しながら模索を重ねてまいりました。

  ③ とはいえ、医療、介護、リハビリ等の専門知識が学園組織としてまだ十分でないなかで不安が多かったのは事実であり、「外部の医療専門職種の方々のお力を積極的に借りる段階となった」という認識のもと、昨年4月より始まったのが、「食事観察」と「摂食・嚥下ケアマネジメント会議」等による新たなマネジメントシステムです。

 

 (2) この1年間の取組みの状況

  ① 毎月の第1土曜日が新システムの実施日。この日はまず昼食時に、支援が必要な利用者さんのお食事の様子を専門家とともに観察させていただくことから始まります。

  ③ 具体的には、

   イ 食前の嚥下体操や食事時の姿勢の在り方など、これまでも行ってきた取組みの当否についての再確認をさせていただいたのは勿論、

   ロ 利用者さんそれぞれの状態を踏まえた「トロミ具合」から、コップの形状、顎の挙上角度から車いすの角度に至るまで、

   医学的根拠等に基づいた様々な知識やアドバイスを賜り、現在に至っています。

  ④ 以上のような趣旨・スタイルでこの1年間実施してきた摂食・嚥下ケアマネジメントシステムですが、コロナ禍のなか、言語聴覚士(ST)、理学療法士(PT)の両先生によるご指導は、オンラインを通じて、というケースも多々ありました。

  ⑤ 今春、ようやく様々な制限が解除され、今月のミーティング(514日(土))では、久々に両先生揃っての実地の指導のもと、「食材はあと1㎝小さくカット」「適した食器の選択はトライアル&エラーで」等々、より具体的な指導・助言もいただきました。

 (3) 今後の展望

  ① 1年前に比べ、「摂食・嚥下ケア」の必要な利用者さんへの対応としては、引き続きの経過観察を行いつつも「ひと段落」といった趣きもあり、また、「摂食・嚥下」以外の分野でも、様々な医学的知見を積極的に採り入れていくことの必要性も感じています。

  ② 今年度は新たに薬剤師の先生にも加わっていただき、更に他の医療関連職種の参画の必要性なども検討しつつ、嘱託医の先生の御指導もいただきながら、「医学的知見を踏まえたケアマネジメント」を発展させていければ、と思います。

  ③ 学園の職員皆が、日々の小さな発見をきっかけに、専門職種の指導助言を頂きつつ、利用者さんができるかぎり健康で楽しく過ごしていただける時間を長くしていけるような支援・ケアをしていければ、というのが担当者の切なる願いです。【大川 矩子】

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