令和7年度を振り返って
令和8年6月に開催された決算理事会、定時評議員会において承認された令和7年度事業報告書の巻頭文です。
(一部、微修正済。)
令和7年4月11日(金)の朝、愛の森学園を長年にわたり利用されてきた女性利用者さんが、急な病を得て、旅立たれました。彼女は愛の森学園が開所した昭和63年5月から学園を住まいとして人生を歩まれ、まさに学園の歴史とともにあった方でした。
人から愛されるキャラクターと、独自の感性をお持ちであった彼女は、学園のアイドルでもあり、そのお振舞い・言動は、周囲の利用者さん・職員をときに癒し、ときに楽しませてくださいました。また、「自閉症」等について入職間もない職員に教えてくださる先生でもありました。
年齢が50歳を超えたころから、身体的衰えなどが見られるようになり、加齢化・重度化を迎えつつあった学園の現在に至る介助技術・医療資源導入の方向性は、彼女への支援のトライアルを通じて、職員・組織が体得していったものでもありました。
急逝される前日、いつもと変わりない様子で過ごされていた彼女は、この日の午後、園庭にこられたコンビニエンスストアさんの移動販売で、いつものようにお買い物を楽しまれ、「どらやき」と「プリン」を堪能されました。その日の夜はやや寝つきが悪かったものの、夜勤職員の見守りのもと、目立った変化もなくいつも通りの朝を迎えるはずでした。
起床時、彼女の容態の変化に気付いた職員が、直ちに119番通報を行い救急病院に搬送されましたが、間もなく急病による彼女の訃報が伝えられました。
我々役職員は大きなショックと深い悲しみの中、事案処理のための諸対応(警察対応・行政報告等※)を行いつつ、ご葬儀への参列、学園内でのお別れ会の実施、入所利用者さんのご家族向けに広報紙「もちのき号外」の発行、などを粛々と進めました。
※入所利用者さんの急変・死亡事例などがあったときには、警察による「事件性の有無」の調査が行われるのが通例です。
少し落ち着いたタイミングで、過去の法人内発生事案と同様に振り返りを行いました。その結果、利用者さん全体の高齢化・重度化が進むなか、今回の事案を踏まえてさらに適切な支援業務を検討すべきとの結論になり、特に夜間・早朝時の職員配置が少ない時間帯での対応充実策を見出すことができました。その意味で、彼女は旅立ちのその瞬間まで、私たちの先生だったといえると思います。
令和7年は昭和100年、戦後80年、阪神淡路大震災から30年、等々歴史的に大きな節目の年でした。愛の森学園が構える厚木市森の里地区も40周年を迎えました。
そのような年に学園とともに歩まれた利用者さんのうちのお一人をお見送りした私たちは、利用者さんに安全・安心で楽しい日々を提供することに加え、高齢期を迎える方々のライフサイクルに応じた支援や見守り、また看取りなどの対応も見据えていくことも、我々の任務であることを、改めて肝に銘じることとなりました。
国際情勢の激変やICTをはじめとする科学技術の類まれなる速さでの進歩などが、学園の運営や日々の生活にも影響を与えるという激動の世の中ですが、私たちは、常に利用者さん支援の原点に立ち返り、事業と法人の運営に精進してまいる所存です。