愛の森コラム
2021年07月05日(月)

東大寺の「お水取り」と、「利用者さんの日常」と

令和3年7月1日(木)

 

 

 ひと月ほど前ですが、テレビで東大寺の「お水取り」に関する番組をやっていました。浅学の身ゆえ、正式には「東大寺修二会」ということ、今年で1270回目を迎えた日本で最も長く続く仏教儀式であること、当時も疫病(天然痘)の大流行があり、この儀式が始まったきっかけの1つではないかということ、などは、初めて知りました。

 平家の焼打ちにあったとき、戦国時代の合戦に巻き込まれたとき、終戦間際、B29が上空を飛んでいたとき、などなど幾多の危機を乗り越え、1度も断絶せずに続けてきた「不退行法」(ふたいのぎょうぼう)を守るため、今春も非常な緊張感をもって執り行われたことなど、一杯飲みながら気軽に見始めた番組でしたが、非常に引き込まれるものがありました。

 昔と違い、今では、祈祷や儀式が感染症対策のメインではないと思いますが(全否定はしません)、俗人たる筆者が感動したのは、とにかく、知恵を出しあい、工夫を重ねて、儀式そのものを継承しようとする姿勢です。儀式の会場にパーテーションを持ち込んだ場合、感染防御と儀式の内容とが両立させられるか、といった議論の様子などは、身近さも感じました。

 我が愛の森学園は、まだ創設30余年ですが、それでも培われてきた生活、ルーティン、行事、イベント、さまざまにあります。もうしばらく続くコロナ禍ではありますが、利用者さんの笑顔が「断絶」することだけには間違ってもならないよう、創意工夫を重ねつつ、何ごとも弾力的に対応していきたいと思った次第です。

 

業務執行理事 國分 隆之

2021/07/05 09:52 | 広報委員会